公認心理師試験の直前の確認に、特に重要な部分だけを抜粋した、自作ノートを公開します!自己責任の下、必要に応じてご活用ください。
ここでは、精神医学に関連する内容をまとめています。
精神医学
1.精神症状の種類
※症状とは、患者が訴える「主観的体験」です。
レベル (誰でも多少ある)
ストレスによる |
気分の落ち込み以外に、興味・関心の減退、活動性の減少、非哀感・絶望感 |
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躁 |
自尊心肥大、注意散漫、外部刺激に転導、思考内容が次々に転導 短時間睡眠、爽快気分と不快・不機嫌 |
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不安 |
「将来の脅威に対する予期(未来に向けられた恐怖感)」。正常な反応。 危険がない状況でも生じ、生活や機能に影響を与えるときに症状となる。 |
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恐怖 |
今、ここで「それ」に対する恐怖。(例、いま、ここで犬に対する恐怖) 不安は未来、恐怖は今。広場恐怖、対人恐怖、不潔恐怖、醜態恐怖 |
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強迫 |
こだわり |
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せん妄 |
悪性の「寝ぼけ」。軽い意識障害+幻覚⇒ほとんど一過性 |
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記憶障害 |
前向性障害:新しい情報が覚えられない 逆行性障害:過去の記憶が想起できない |
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精神病水準 |
幻覚 |
5種類ある:幻聴、幻視、幻味、幻臭、幻蝕。幻聴は統合失調症に多い。 |
妄想 |
・心気妄想:自分が重病に患っている等:うつ病に多い ・貧困妄想:自分の財産がなくなった:うつ病に多い ・迫害妄想:自分が迫害されている等:統合失調症に多い ・妄想気分:不気味で何かが起きるという不安緊迫感:統合失調症 ・世界没落体験:世界が破滅する:統合失調症 |
2.認知症
(1)症状
中核症状(認知) |
記憶障害、失語・失認、失行、判断力、実行機能、見当識障害 ⇒脳が担っていたこと |
↓できない、わからない、怖いという気持ちから周辺症状が発生する |
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周辺症状(行動・精神) |
抑うつ、不眠、徘徊、妄想、せん妄、人格変化、不潔行為 |
※見当識障害:時間や場所が急にわからなくなる
※せん妄:異常な精神状態。突然暴れだす、意味不明なことをいう、妄想・幻覚・幻聴・攻撃的
(2)種類
・脳が委縮。女性に多い。⇒老人班(アミロイドBから生じる)により破壊される。 ・記憶障害⇒失効・失認・失算・失読⇒自発性低下・人格変化等 ・うつ症状が起こる |
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血管性認知症 |
・症状は、梗塞巣の分布による⇒まだら状に障害される ・感情失禁 ・段階的に悪化する |
レピー小体型認知症 |
・脳の広範囲に「レピー小体(たんぱく質)」が発生する。 ⇒進行により寝たきりに。 ・はっきりとした幻視や妄想、パーキンソン症状を中核症状とする。 ・レム睡眠行動障害が見られる |
前頭側頭型認知症 |
・前頭葉と側頭葉に委縮が見られる。 ・代表的なものに「ピック病」がある⇒同じ行動を何度も繰り返す(常同行動) ・自分勝手な行動、万引きなどの反社会的行動、人格の変容 ・進行すると、言語機能障害 |
生常圧水頭症 |
・原因不明の脳室拡大 ・歩行障害、認知障害、排尿障害 ・治療で回復可能 |
(3)心理的支援
回想法 (ライフレビュー) |
過去への回想、未解決の課題の再考、集団・個人可能 |
リアリティ オリエンテーション |
見当識障害へのアプローチ (日にち、場所、時間、季節等を随時提供し、不安や混乱をなくす) |
3.依存症
プロセス依存、物質依存、関係依存がある。
依存 |
例 |
プロセス依存(様々な活動) |
ギャンブル、ネットゲーム、買い物 |
※物質依存(物質摂取) |
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関係依存(人への依存) |
DV、子の世話を過度にやく等 |
DVは、「緊張期」「爆発期」「開放期(ハネムーン期):加害者が謝罪し優しくなる」がある。
⇒暴力の後の優しさ⇒「特殊な結びつき」により依存
⇒トラウマティック・ボンディング
トラウマティック・プレイ⇒トラウマを再現する遊び
※物質依存2パタン
依存パタン |
対処物質がきれると・・・ |
例) |
精神依存 |
物質を摂取したい渇望にとりつかれる |
コカイン、ヘロイン |
身体依存 |
離脱症状(幻視、発汗、頭痛等) |
ヘロイン |
※中毒:体内から物質が排泄されると症状は消失する
※依存性薬物は、2つに分けられる
・中枢神経興奮薬(覚せい剤)
・中枢神経抑制薬(アルコール、大麻)
4.統合失調症
(青年期に発症⇒ドパミン過剰仮説)
陽性症状 |
幻覚、妄想、自我障害 |
感情鈍麻、自発性減退、社会的引きこもり |
DSMにおける統合失調症の診断基準
(以下の2つ以上が常に存在、少なくとも1つは①か②か③を含む)
①妄想、②幻覚、③まとまりのない発語、④まとまりのない行動、⑤陰性症状
シュナイダーの一級症状
・考想化声(自分の思考が声として聞こえる) ・話しかけと応答形式での幻聴 ・自分の行動について誰かが批判する幻聴 ・身体的影響体験(体が電波や光線の影響をうける) |
・考想奪取(自分の考えを他人に奪われる) ・考想伝搬(自分の考えが他人に知られている) ・妄想知覚(知覚への妄想的な意味づけ) ・作為体験(自分が他者に操られている) |
統合失調感情障害、妄想性障害、緊張病(カタトニア)等がある
【緊張病】
・昏迷(精神運動性の活動がない、周囲と活動的なつながりがない)
・カタレプシー(他人にとらされた姿勢を保ち続ける)
・蠟屈症 ・無言証 ・拒絶症 ・姿勢保持 ・わざとらしさ
(3)歴史
早発性痴呆(クレペリン)⇒精神分裂病⇒統合失調症(2002年)
5.他の病気 DSM5
障害名 |
種類 |
症状 |
治療・備考 |
躁)観念奔逸、睡眠欲求低下 |
炭酸リチウム |
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・貧困妄想:お金がない ・罪業妄想:罪深い人間 ・心気妄想:重大な病気罹患 |
・SSRI 気分変調症:軽症だが慢性 |
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不安症群 |
分離不安症 |
愛着を持っている人からの分離に対する過剰な不安 |
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選択性緘黙 |
特定の社会状況において、一貫して話すことができない |
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限局性恐怖症 |
特定状況に対する顕著な恐怖と不安(注射、高所等)⇒暴露法 |
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社交不安症 |
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パニック症 |
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乗り物、広場、劇場、群衆、等への不安・恐怖 ⇒暴露法、認知行動 |
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全般性不安症 |
多数の出来事などへの過剰な不安や心配が6か月以上続く 易怒性、睡眠障害、集中困難、筋肉の緊張 |
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強迫症および関連症群 |
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醜形恐怖症 |
繰り返し鏡による確認、過剰な身づくろい、皮膚むしり、等 |
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抜毛症 |
体毛抜き、辞めようと思っているがやめられないから苦痛 |
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ためこみ症 |
捨てる、手放すことが困難、過剰収集を伴う |
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心的外傷およびストレス因関連障害群 |
反応性アタッチメント |
社会的ネグレクト経験者。 |
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脱抑制型対人交流 |
社会的ネグレクト経験者。見慣れない人に近づく、馴れ馴れしさ |
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強いトラウマ。フラッシュバック(侵入症状)、持続回避、等 ASD:~1か月、PTSD急性:1~3か月/慢性:3か月以降持続 |
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他のいずれの精神疾患の診断基準を満たすほどのものはない |
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解離症群 |
解離性同一症 |
2つ以上のパーソナリティ |
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解離性健忘 |
特定の出来事の健忘(現局的、選択的健忘)または全般性健忘 |
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離人感・現実感消失 |
現実感の消失 |
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身体症症状および関連症群 |
身体症状症 |
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病気不安症 |
病気へのとらわれ⇒病院に何度もいくor病院を避ける |
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変換症/転換性障害 |
神経学的検査をしても説明できない神経症状 失神・痙攣発作、麻痺、歩行障害、視・聴覚障害⇒多数同時あり |
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作為症/虚偽性障害 |
偽下痢、偽発熱等。自分(ミュンヒハウゼン)、他者(代理ミュンヒハウゼン) ⇒外的報酬を求める詐病とは異なる 周囲の関心を引くため |
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食行動障害および摂食障害 |
神経性やせ症 神経性無食欲症 拒食症 |
・生命の危険がある時は、要入院 ・本人は病識に乏しい |
・家族療法が有効 ・5年以内に寛解 ・BMI⇒17/m2以下~ |
神経性過食症 |
・反復する過食 ・体重増加防止の不適切行動 ・体重、体系への過度なこだわり |
・レプチン濃度が上昇 ・抗うつ薬有効 |
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睡眠‐覚醒障害 |
不眠障害 |
「寝なければ大変なことになる!」 |
メラトニン、オレキシン、ベンゾジアゼ |
過眠障害 |
9時間以上あってもまだ眠い |
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・情動脱力発作(カタプレキシー) ・オレキシンの欠乏 ・レム睡眠の異常⇒入眠時幻覚 |
⇒ADHDと同じ薬
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パーソナリティ障害群 |
A群 パーソナリティ障害 |
妄想性/猜疑性 |
他者への不信と疑い深さ |
急な不快、風変りさ |
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社会的関係からの離脱 |
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B群 パーソナリティ障害 |
演技性 |
人の注意を引こうとする |
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自己愛性 |
賞賛欲求、共感欠如 |
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境界性 |
感情の不安定と衝動性 |
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反社会性 |
他人の権利無視、侵害 |
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C群 パーソナリティ障害 |
回避性 |
関わりを求めるが避ける |
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依存性 |
世話をされたい欲求 |
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強迫性 |
完璧主義、秩序に囚われる |
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パラフィリア |
性嗜好異常 |
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秩序破壊的 衝動抑制 素行症 |
反抗挑発症 |
易怒的、口論好き、執念深さ |
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素行症 |
社会的規範や規則を侵害することが持続 |
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放火症 |
意図的な放火 |
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窃盗症(クレプトマニア) |
直前の緊張の高まり、窃盗に及ぶときの快感、満足、開放感 |
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神経発達症群
発達早期に 明らかになる |
知的能力障害 |
18歳までに発症。DSMではIQ区分無 4分類:軽度、中度、重度、最重度 |
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12歳前から存在。ADDは女性に多い |
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限局性学習症 |
『読み』:ディスレクシア 『書き』:ディスグラフィア 『計算』『推論』:ディスカリキュリア |
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・社会性、想像性、コミュニケーション ・中枢性統合の弱さ:細部にとらわれ大局的な判断の困難さ 全体の意味を見出そうとすることよりも、部分のまま関わろうとする傾向が大きい。 ・感覚に対するこだわり⇒感覚過敏 |
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運動症群 |
チック症群 |
トゥレット症含む(音声チック、運動チック等) |
ややこしい症状まとめ!
・カタレプシー:他人にとらされた姿勢を保ち続ける。統失や緊張病の症状の一種でもある。
・カタプレキシー:喜怒哀楽や恐れ、羞恥時に力が抜ける
・ナルコレプシー:突然眠くなる。オレキシンの低下。カタプレキシーを伴う場合がある。
・ジスキネシア:錐体外路症状の1つ。
・アレキシサイミア:失感情症。自分の感情の認識や言語化が苦手。ストレスや気分の変化に気づかない。対人関係もうまくいかない。
ここまでです。お疲れさまでした!
事例問題は確実に抑えましょう!
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1.要点まとめ➀ 公認心理師法
2.要点まとめ➁ 産業分野
3.要点まとめ③ 医療分野
4.要点まとめ④ 司法分野
5.要点まとめ⑤ 教育分野
6.要点まとめ⑥ 福祉分野
7.要点まとめ⑦ 学習心理学
8.要点まとめ⑧ 認知心理学
9.要点まとめ⑨ 発達心理学
10.要点まとめ⑩ 社会心理学
11.要点まとめ⑪感情・人格
12.要点まとめ⑫ ストレス
13.要点まとめ⑬ 心理アセスメント
14.要点まとめ⑭ 脳
15.要点まとめ⑮ 精神医学
16.要点まとめ⑯ 薬学・生理学
試験勉強、頑張ってください!!