先日、知人から相談というか告知を受けました。
「子ども学校に行かないと言っているんだけど、どうしたものか・・?」
そして、こう続きます。「本人と、いろいろ話した結果、フリースクールに行くことにした」とのこと。
よく、新聞やテレビで「不登校」については耳にしていましたが、自分には「遠い存在の出来事」だと感じていました。しかし、知人を告知を受け、とても身近なことなのだと認識しました。知人の子どもは中学1年生です。
これを受け、色々と不登校について調べてみました。
不登校の原因、定義、対応策
1.結 論(対応策)
色々と調べましたが、まず対応策についての結論から書きます。
不登校を減らすための解決策として…
色々な考え方があると思いますが、私は次のように考えました。
①多様な学びを認める(まずは自治体レベルで)
学校以外の学びの場(フリースクール等)での取り組みを、「出席」として認めつつ「評定」をつけられるようにする。
現状は、出席として認められるが「評定は1」とする学校が多いとのこと。なので、内申書に影響が出て進路が不利になるのです。
このため、本人も保護者も将来の考えると一層不安になり 負のスパイラルに陥ります。
「学校に行けない不安」に加え「将来の不安」でダブルパンチです。
尚、「学校以外の学びの場」については一定の基準を設け、その基準をクリアした場所においては「評定」を出せるようする感じが良いのではないでしょうか?
②義務教育中は学校以外の学びの場への学費を補助(札幌方式)
全額といわずとも、その一部を補助する等々・・・
民間のフリースクール等は、どこも学費がかかるとのこと。
知人が見学に行ったフリースクールは、月額45,000円。
年額ですと540,000円となります。
これでは裕福な家庭しか利用できないですよね。公的な場(適応指導教室や教育支援センター等々地域によって名称は異なる)は無償ですが、知人の住む地域では利用する子どもが沢山いるため、そこにも行けない子どもがでてきているとのこと。
こうなると、官民共同で対応するしか無いと思います。
ちなみに札幌市は民間が運営するフリースクールへの助成があるとのこと。
札幌方式を広めると良いのでは…
③通信制中学校を作る
これが解決策としては一番だと思います。
全国的に2校くらいあったと思います(神田一橋中学、他)。
しかし、これは対象が不登校ではなく尋常小学校卒業者が対象となります。
旧制度の中学校卒業者に、新制度の中学校の学習を学んでもらうための学校なのです。
もし、通信制の中学校ができれば自宅で学習をしつつ、決められた日数のスクーリングを受ける等、個々のペースで学習ができるため安心して卒業を目指すことができます。
また、当然「学校」なので「評定」も出すことができます。
上記3つは、不登校なると考えられる不安要素を全てクリアできる対策です。
〇「評定がつかない」⇒「内申書に影響がでる」⇒「将来の進路が不安」
〇お金がかかるため、民間のフリースクールを利用することをためらう
さて、結論を先に書いてしまったのですが
不登校に関する現況を見ていきましょう。
2.不登校の定義
「不登校児童生徒」とは「何らかの 心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、 登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間 30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を 除いたもの」と定義しています。
なるほど、以上のように定義されているのですね。「年間で30日以上」という日数の定義も決められているのですね。
3.不登校児童生徒の推移
不登校児童生徒の推移については、文部科学省のホームページ(以下参照)で確認することができます。以下参考
平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(その2)
ここ数年の推移を見てみると…
平成27年 小学生 27,583名、中学生 98,408名、合計 125,991名
平成28年 小学生 30,448名、中学生 103,235名、合計133,683名
平成29年 小学生 35,032名(185人)、中学生108,999名(31人)、合計144,031名(68人)
※平成29年の( )内は、全体人数の割合。例)31人=31人に1人が不登校
割合を見ると、平成29年度の中学生の場合、約30名に1人は不登校なのです。
ほぼ1クラスに1人の割合ですね。これは、身近なはずです。
とにかく、毎年増え続けていることがわかります。
4.原 因
知人の場合、「良く分からない」とのことでした。「理由が解れば解決に向けて対象するんだけど。。。」と嘆いていました。
文部科学省の調べでは・・・
上記参考資料の文部科学省の調べでは以下のように要因を調査しています。
「本人にかかる要因5つ」、「学校・家庭に係る要因」を提示しており、本人にかかる要因に加え、「学校・家庭に係る要因」(学校に係る状況、家庭に係る状況)を加味して数値を出しています。
【本人にかかる要因:5つ】
①学校における人間関係に課題を抱えている。
②「あそび・非行」の傾向がある
③「無気力」の傾向がある
④「不安」の傾向がある
⑤その他
【学校に係る状況:8つ】
①いじめ
②いじめを除く友人関係をめぐる問題
③教職員との関係をめぐる問題
④学業の不振
⑤進路に係る不安
⑥クラブ活動、部活動等への不適応
⑦学校の決まり等をめぐる問題
⑧入学、転入学、進級時の不適応
【家庭に係る状況:1つ】
①家庭に係る状況
例)『学校での「いじめ」が原因で「不安」が生じて学校に行けない』場合、
「本人に係る要因」は④の「不安の傾向がある」となり、「学校に係る状況」は①の「いじめ」となり、④-①に数値が投じられるようになっています。
中学生の場合、最も多い不登校の要因は
①「学校における人間関係に課題を抱えている」-②「いじめを除く友人関係をめぐる問題」
具体的なことは、この要因から読み取ることはできませんが、友人関係がうまくいかないために不登校になっていることが予測できます。
ネット上にあるサイトの調べでは
参考 不登校サポートナビ
8つの原因をあげられていました。
①学校生活によるトラブル(いじめ、集団生活が苦手、教師とあわない等)
②無気力
③非行や遊び
④学業不振
⑤甘えたがり・精神が未熟
⑥家庭環境(金銭的問題、介護、家庭内不和等)
⑦発達障害
⑧神経症
ほぼ、文部科学省が提示している内容と一致していますが、⑦発達障害や⑧神経症については触れられていません。文部科学省では「その他」に含まれているのかもしれないです。
発達障害、神経症については個人的に興味があるので、また別のブログで調べたいと思います。
5.対応方法(5つ)
不登校児童生徒を取り巻く環境としての対応方法については、一番初めの結論に書きました。
ここでは、不登校児童生徒の保護者や身近な人がどう対応すればよいのか、カウンセラーの話や教育に携わる大学の先生等に聞いた話をまとめます。
試してみる価値はありそうです。
①よく話を聴く
子どもの話をよく聴くこと、対話をすることが大切。
なぜ、そう思うのか?その背景はなにか?等々、発する言葉の奥にあるものをゆっくりリラックスしながら聴く、話すことが大切だとのことです。
カウンセリングのような感じですね。
②エネルギーの回復を待つ
例えば、学校の友人関係が原因で不登校になった場合、そこで消耗したエネルギーを復活させるまで待つ必要があるとのことです。
人によって時間はことなりますが、とにかく待つこと。本人が「ストレス」と感じる刺激から離れ、エネルギーの回復を待つことが大切だとのことです。
③無理強いせず、できることをやる
おかれた状況で、できることをやる。
原因を突き詰めてもあまり役立たないとのこと
です。それよりも、「今、目の前の子どもに私ができることは何か?」、子ども自身ができることは何かを考え、実行することが大切とのことです。
④日光にあたる
日光を浴びると、セロトニンという気分を安定させる物質が生成されるそうです。
うつ病の治療や予防にも効果的とのこと。
ただし、強い日差しを長時間浴びる事はよろしくないという見解もあります。適度な日光浴は効果があるようです。
⑤体を動かす
運動をすると、ストレスが発散されすっきりした気分になることから、脳に良い影響を与えるとされているようです。
確かに、運動をした後はすっきりしますよね。
何となく、体を動かすことは良いような気がします。
よく、「フリースクール等には体育館がなく運動ができない」という話をききます。
フリースクールを選ぶときには、運動のできるところを選んだ方がよさそうですね。
6.おわりに・・・
今日、知人から連絡がきました。
「とりあえず、近所のフリースクールに行くことが決まった」
複雑な心境の中に、希望の光が少しだけ見えたような、そんなトーンで話をしてくれました。
時間はかかるかもしれませんが、冒頭に書いた「多様な学び」がどの地域でも積極的に整備されると良いと思います。